NIOSHの職業性ストレスモデルと活用法

NIOSHの職業性ストレスモデルとは

NIOSHの職業性ストレスモデルは、NIOSH(ナイオシュ:National Institute for Occupational Safety and Health)というアメリカの国立労働安全衛生研究所が、職業ストレス研究で蓄積されたデータの分析をもとに開発したモデルです。

職場におけるストレッサー(job stressor)が、仕事外の要因(nonwork factors)、個人的な要因(individual factors)、緩衝要因(buffer factors)によって調整され、緩衝されて、心理的・身体的・行動的な急性のストレス反応(acute reactions)に影響するとしました。

そして、急性ストレス反応が持続して慢性化すると、うつ病などのメンタルヘルス疾患の発病や休職、離職につながるとしています。

特定の職種や職域にとどまらず、より一般的な職業に対応できる包括的なモデルです。

各要因の代表例は以下の通りです。

  • 仕事外の要因(nonwork factors):家族や家庭からの要求を意味します。
  • 個人的な要因(individual factors):年齢や性別、職種や肩書き、性格や自己評価、結婚生活の状況や雇用保障期間などが挙げられます。
  • 緩衝要因(buffer factors):上司や同僚、家族や友人らによる社会的支援です。

急性のストレス反応として、仕事への不満や抑うつ症状といった心理的反応、頭痛や胃痛、下痢など身体的な訴えである生理的反応、事故を起こしやすくなる、病気での欠勤が増える、薬物依存するなどの行動化の反応が挙げられます。

NIOSHの職業性ストレスモデルの特徴

NIOSHの職業性ストレスモデルでは、職場のストレッサーが急性のストレス反応に影響することが最も影響が大きいものとして重要視されます。急性のストレス反応は、メンタルヘルス疾患へと結びつくものなので注視しなくてはなりません。

職場のストレッサーはさまざまありますが、代表的なものは以下のような職場環境です。

人間関係や対人責任性、役割上の葛藤や不明確な立場、仕事の量的負荷や変動性、仕事のコントロール状況、仕事に関する将来性や不安、仕事の要求、不十分な技術の活用、交代制勤務などが挙げられます。
続いて、職場のストレッサー以外についても見ていきましょう。

仕事外の要因としては、家事や育児、介護によるストレスなどが挙げられます。職場でのストレッサーに加えて、仕事外からもストレッサーが加われば、二重の負荷がかかり、急性のストレス反応が出やすくなるので注意が必要です。

個人的要因は性別や年齢、性格傾向、行動パターンなどが挙げられ、考え方の違いや、ストレス耐性など個人差があります。

緩衝要因とは、ストレッサーの影響を緩和してくれる要因で、その代表的なものは社会的な支援です。
社会的支援とは、たとえば、職場において上司や同僚が仕事上の問題解決をサポートしてくれることや家族や友人が仕事の愚痴や職場の不満を聞いてくれるといったことです。

緩衝要因はストレッサーによる影響を緩和してくれ、急性のストレス反応を予防する役割を果たします。

ストレス反応を抑えるために大切な周囲からのサポート

NIOSHの職業性ストレスモデルによれば、職場のストレッサーをはじめ、年齢や性別などの個人的要因、プライベートの出来事や事情といった仕事以外の要因などが組み合わさることで、急性のストレス反応へとつながってしまいます。

一方で、緩衝要因として上司、同僚、家族からの支援が得られると、ストレス反応を抑えられるとしている点に目を向けることが大切です。企業においては職場でさまざまなストレスが従業員にかかる一方で、上司や同僚からのフォロー体制が構築できれば、急性のストレス反応を抑え、メンタルヘルスの不調で休職することや離職する人を減らせることを意味します。

ゲーム形式のメンタルヘルス対策研修を行い、上司や同僚からの支援が重要であることに気づける取り組みを行っている企業などもあります。

上司や同僚にできる3つの支援

上司や同僚からどのような支援を受けることで、ストレッサーを緩和し、急性のストレス反応へと発展することを防ぐことができるのでしょうか。

上司や同僚からの支援として、業務支援、精神支援、内省支援の大きく3つが考えられます。

業務支援とは業務に関する助言・指導のことで、必要な情報を提供したり、専門的知識やスキルでカバーしてくれたり、仕事の相談に乗る、仕事で必要な他部門との調整をしてくれるなどのサポートや上司が目標や手本となる、本人が自律的に働けるよう任せてくれるといったことです。

精神支援は精神的な安らぎや励まし、業務に対するフィードバックを与えてくれることです。仕事ばかりではなく、雑談をするなど仕事の息抜きになることやプライベートな相談に乗って心の支えになってくれる、楽しく仕事ができる雰囲気を作ってくれることなどが挙げられます。

内省支援は個人の業務のやり方・行動のあり方に対して客観的な意見を与えたり、振り返りをさせる機会を与えてくれたり、新たな視点を与えて煮詰まった状態を解決してくれるなどが挙げられます。

3つの支援のチェックリストを作成するなどして、管理職、一般職ともに部下や同僚に互いに支援ができているかを見直し、実行していくことで、職場全体のストレッサーの減少やメンタルヘルス不調の防止が可能です。

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