熊本いのちの電話の相談員研修事前説明会に参加してきた

2023年4月15日(土)の10:30〜、熊本市の市民会館シアーズホーム夢ホールにて熊本いのちの電話の研修前の事前説明会がありました。昔から、いのちの電話の活動に興味があったため参加してきたのでレポートします。

いのちの電話とは?

いのちの電話とは、ボランティア相談員による自殺対策の電話相談窓口です。詳しくは下記の記事で解説しています。

いのちの電話「いのちの電話」とは?匿名電話相談の実態や運営体制、相談員になる方法を解説

事務局長からのご挨拶

最初に事務局長さんからのご挨拶と、いのちの電話の活動の概要をお話いただきました。

聴くということの3条件

  1. 受容
  2. 共感
  3. 傾聴

無償ボランティア

1年間の養成講座をした後、1年間のインターン期間を経て相談員に。無給で交通費も自己負担なので、完全な無償ボランティアとしての活動になります。

熊本いのちの電話の活動状況

次に、動画を使って熊本いのちの電話の活動実績や養成講座についての説明がありました。

いのちの電話の相談件数

いのちの電話全体での相談件数は年間55〜60万件ほど。のうち、自殺の相談は6万件ほど。熊本いのちの電話については、昨年は年間8000件の電話があったとのことです。

熊本いのちの電話の歴史と現状

1953年イギリスのロンドンで始まった自殺予防の電話相談が起源。日本では1971年に東京で始まり、現在は全国50のセンターで5000人の無償ボランティアで運営されています。

熊本は20番目のセンターとして1985年に開局。現在は130名の相談員が24時間対応しています。

今回の相談員募集は、40期生。40年間もこの事業が続いているということに驚きました。

熊本いのちの電話の相談員養成講座

相談員養成講座では、「傾聴」についてロールプレイを交えながら学んでいきます。

養成講座のカリキュラム

養成講座のカリキュラムは以下の写真の通り。毎週実施して行きます。結構ボリューミーです。色んな講師の方から学べて、実践的なロールプレイもあるのは嬉しいですね。

僕みたいに2拠点生活をしている人は、すべて参加するのは難しそうです。講義形式のものは録音したものを共有いただくことは可能だそうです。

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養成講座の料金

  • 前期講座:1万円(19回分)
  • 後期講座:1.2万円(23回分)
  • YMCA阿蘇研修所での1泊の宿泊研修:別途宿泊費が発生

YMCA阿蘇キャンプ場で1泊研修が有料で1万円だったが、熊本県の補助が出て今期から無料になっているそうです。

全部で「42回」も研修を受けると考えると、費用も安いと感じる人もいるかもしれません。一方で、無償ボランティアになるのにお金もかかるのかと感じる方もいるとは思います。

養成講座の開催場所

熊本いのちの電話の相談員養成講座は、熊本YMCA本館で実施しています。駐車場があり車でも通いやすい場所です。

質疑応答

いのちの電話と養成講座の説明を受けた後は、質疑応答の時間が設けられていました。参加者20名ほどでしたが、みなさん積極的に質問されていたのが印象的でした。一部抜粋してご紹介します。

Q.いのちの電話の活動場所はどこか?

いのちの電話の電話相談の場所は非公開になっています。相談を受けた人が怒鳴り込んでくるなどのトラブルを回避するため、コールセンターの住所は公開していないそうです。比較的、交通の便は良い場所だそうです。

Q.活動の時間はいつになるのか?

熊本いのちの電話は、電話が2回線あるそうです。1日の時間を5つにシフトを分けて、相談員が都合の良い時間に予約します。3ヶ月先まで予約をできるそうです。

24時間やっているため深夜の時間もあります。深夜時間帯は先輩の相談員がやっています。

Q.リモートでも電話相談できるか?

リモートでの電話相談はやっていないそうです。電話を受ける場所のセキュリティ、守秘義務の条件があるからとのこと。雪国ではサテライトオフィスを作っているようですが、自宅で対応できるような仕組みを作ることはないようです。

10代、20代は電話をかけてくる人が少ないです。そのためインターネット相談を数年前から始めています。全国で相談を受けてそれぞれの場所で回答を作る仕組みになっています。残念ながら、インターネット相談は回答がリアルタイムではない、というのが課題だそうです。

Q.受講生募集は毎年やっているのか?

毎年いのちの電話の相談員の募集はしていて、だいたい5〜6名が参加しています。今年はマスコミにも取り上げてもらい、熊本全体に周知されたことで応募者が多いようです。(当日20名ほど説明会に参加していてびっくりしました)

Q.何にお金は使っているのか?無償ボランティアで回しているなら経費もかからないはずでは?

自前のビルがあります。そこで賃料、電気代、水道代、消耗品費などがかかります。また、駐車場を使えるように駐車場スペースを借りていて相当な金額になっています。その他にも、事務局の講習の謝金にも経費がかかっています。その他には、広報誌やチラシなど印刷費用がかかっています。そのため、年間800万円ほどの経費がかかっています。

無償ボランティアで運営する以上、資金使途への納得感は大事だなと思いました。

ワークショップ

最後に、2つのワークを通していのちの電話の活動を追体験しました。

【1】絵を描くワーク

1つ目が指示を受けて絵を描くというもの。同じ指示を受けても、人によって感じ方、解釈の仕方は異なるということを学びました。

お題は、おにぎりとつくし。僕はこんな感じで、ドラクエのスライムみたいなおにぎりを描いていました。笑

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【2】傾聴ワーク

次に傾聴を実践するワークを2人1組で実施しました。「わたしってこう見えて◯◯なんです」という話をして、それを片方が傾聴するというもの。

参加してみた感想

いのちの電話に対して、勝手にものすごいハードルの高さを感じていたのですが、いざ説明会に参加してみると非常にアットホームな雰囲気でした。運営やサービスの課題も含め建設的な議論がされていて、とても興味深かったです。

いのちの電話の活動に興味のある方は、ぜひ各地のいのちの電話に問い合わせてみてください。

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