「新型うつ病(現代型うつ病)」と従来の「うつ病」の違いとは?

20代から30代の若い人たちの間では、「新型うつ病」を発症する人が増えていると言われています。「新型うつ病」は、従来のうつ病と比べて、周りの人たちの理解を得にくく、「ただのわがまま」や「甘えている」と誤解されて、ますます追い詰められてしまう人もいるようです。

「新型うつ病」で苦しむ人が身内や職場にいる場合は、この病気に関する正しい理解が必要となってきます。新型うつ病の特徴、従来のうつ病との違い、企業が行っているメンタルヘルスに関する取り組みなどをご紹介していきます。

「新型うつ病」とは?

「新型うつ病」はマスコミ用語で医学用語ではない!?

「新型うつ病」は、精神医学の専門用語ではありません。実は、「新型うつ病」という名称は、新聞やテレビ番組などのマスコミが生み出した造語なのです。

2010年代頃から、メディアが「新型うつ病」と呼ぶようになったことで、この名称が広がっていきました。日本うつ病学会治療ガイドラインには、”「現代型(新型)うつ」は、マスコミ用語”との記載があります。

また、日本うつ病学会ホームページのうつ病Q&Aのページでは、新型うつ病に関して以下のように記載しています。

”「新型うつ病」という専門用語はありません”
”そもそもその概念すら学術誌や学会などで検討されたものではありません”

うつ病Q&A | 日本うつ病学会 Japanese Society of Mood Disorders

「新型うつ病」は「非定型うつ病」と同じもの

「新型うつ病」とほぼ同じようなものとして捉えられているのが、「非定型うつ病」(Atypical depression)です。
この「非定型うつ病」は、従来のうつ病には当てはまらないタイプとして捉えられている病気です。

「新型うつ病」と「非定型うつ病」を抱えている人たちには、以下の症状が出やすいと言われています。

  • 20代~30代の若い年代に多い
  • 女性の罹患率が特に高い
  • 学業や仕事が原因で発症することがある
  • 過眠(朝起きられなくなる、体が鉛のように重いなど)
  • 怒りやすくなったり、悲観的になったりと感情過敏になる傾向がある
  • 過食

「新型うつ病」の特徴は「気分反応性」

また、「新型うつ病」を抱えている人は、「気分反応性」が出やすいことも特徴です。

気分反応性は、抑うつ気分が続いているけれど、良いことがあるとすぐに気持ちが持ち上がることや逆に嫌なことがあると気持ちが下がってしまう症状のこと。日常の些細な出来事に過敏に反応して気分が浮き沈みしてしまうことから、新型うつ病の患者は「甘えている」、「わがまま」といった誤解を受けやすいです。

「新型うつ病」と「従来のうつ病」との違い

「新型うつ病」と「従来のうつ病」の違いについても見ていきましょう。

両者の大きな違いは、好きなことに対しての気分の上がり方です。

「従来のうつ病」では、何をしても楽しいと感じることができなくなり、好きだったものに対しても興味を失いがちになります。

反対に、「新型うつ病」では、うつな気分になることもあるけれど、好きなことをするときだけは元気になりやすい傾向があるのです。

そのほかにも、「新型うつ病」は過食傾向があり体重が増えやすい、「従来のうつ病」は食欲がなくなり体重が減りやすいといった違いもあります。

また、治療面では、 「新型うつ病」は薬が効きにくいけれど、「従来のうつ病」は薬の効果が出やすいといった相違点があります。