EAP(従業員支援プログラム)とは?導入メリットや具体的な活用方法を解説

EAP

EAP(従業員支援プログラム)とは

EAPとは「Employee Assistance Program」の略で、メンタルヘルスの面を中心に従業員を支援するプログラムを指します。EAPは1960年代にアメリカで登場したサービスで、その当時、アルコール依存症や薬物依存に苦しむ労働者が増えていたことから生まれました。

日本では1990年代頃から導入する企業が増え始め、メンタルヘルス対策やキャリア支援策として注目を浴びています。

厚生労働省が定めている「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、職場における「4つのケア」が重要であると提唱されています。

  1. セルフケア(労働者が自らのストレスを予防・軽減する)
  2. ラインケア(上司など所属部署によるサポート)
  3. 事業場内産業保健スタッフなどによるケア(産業医・保健師によるサポート)
  4. 事業場外資源によるケア(社外の専門サービスなどによるサポート)

4つのケアのうち、EAPは「事業場外資源によるケア」に該当し、企業が外部サービスを導入することで、従業員は自分の悩みや苦しみを上司や同僚など社内の人に知られることなく、専門家に相談できる仕組みを整えるものです。

EAPを実施するメリット

EAPを導入することで、従業員と職場の生産性向上が目指すことができます。従業員は不安や悩み、ストレスなどを抱えていると仕事に集中できず、ミスをしてしまい、生産効率が落ちてしまいます。

EAPを導入することで、従業員が精神的に元気になり、モチベーションアップや離職率の低下、生産性の向上が望めるのがメリットです。離職率の低減で採用コストなどの人件費も抑えられ、生産性向上で企業の業績アップも期待できます。

EAPは社内人材によるサポートではなく、社外の第三者機関を利用したサービスなので、プライバシーが守られ、従業員は上司などに知られることを恐れず、安心して利用できるのもメリットです。

一般の従業員はもちろん、管理職や人事部のスタッフも含め、あらゆる従業員の幅広い相談にワンストップで対応してもらえるのも魅力です。

社外のサービスを利用することはコストが高いと思われますが、企業が臨床心理士、公認心理師などの専門家を直接雇用するより、コストも抑えられます。

EAPを会社に導入するための流れ

EAPは社外サービスの利用となるため、まずは目的を定めたうえで、自社のニーズに合った業者を選定しなくてはなりません。電話相談やチャットやメール相談、事業所に相談ブースを設けての相談、24時間対応などをはじめ、どのようなスタッフで構成されているのか、費用など幅広い観点から自社に見合う業者を選定します。

管理職への啓発

導入したサービスの利用を促進するには、従業員に周知するより先に、管理職の理解を深めることが大切です。
メンタルヘルス相談の重要性、メンタルヘルスの健全性やサポートが部下とのパフォーマンスと大いに関係があることを管理職が理解することで、部下が利用しやすい環境が作れるからです。
管理職向けのメンタルヘルス研修をはじめ、管理職自らにお試しカウンセリングを体験してもらうなどして、理解の促進を図りましょう。

従業員の周知や利用の推進

管理職の理解が深まると、従業員への周知もスムーズに進みます。
社内報や電子メール、朝礼や掲示板、管理職からの周知など幅広い方法で、どのような制度で、どのように利用できるかを伝え、EAPが導入されたことや気軽に相談できることを伝えていきましょう。

継続的利用の促進

導入を周知しても、なかなか利用してもらえないケースもあります。
また、周知直後は利用者がいても、そのうちに企業もアピール量が減り、新しい従業員が増えた場合や入れ替わっていくうちに利用頻度も少なくなるケースも多く見られます。
毎年の健康診断と合わせてストレス・チェックを行い、結果の説明をEAP業者のカウンセラーに行ってもらい、従業員との距離を縮めて、気軽に相談しやすい環境を整備するなどの工夫も必要です。

EAPの具体的な活用例とKPI

企業でEAPを活用する場合、大きく分けると3つの目的で導入されます。

企業ごとに導入目的は様々です。導入にあたっては定量的な目標としてKPIを定めて、定期的に達成状況を測定しPDCAサイクルを回していくことも大切です。

従業員の福利厚生のため

1点目が福利厚生としての導入です。大手企業などではEAPが福利厚生として当たり前に導入されているものになりつつあります。

福利厚生が目的の場合、何かあったときの安心のためにEAPサービスを備えていることが重要となり、日々の利用者数、利用率はあまり重視されません。KPIはEAPを利用することが、従業員の満足度や健康度向上にどの程度貢献しているかになるでしょう。会社の福利厚生全般に対する満足度調査などを実施して、効果測定をすることとなります。

メンタルヘルス不調防止のため(セルフケア)

2点目がメンタルヘルス不調の予防のための導入です。

現在のメンタルヘルス不調の数や休職データなどを確認し、EAP導入後にどれだけ低下したかをKPIを測る指標にしましょう。

メンタルヘルス不調への現場の対応負担軽減のため(ラインケア)

3点目が、現場の負担軽減のためです。産業医や上司、人事部との面談などでの対応では現場に負担がかかりすぎるケースが増えてきています。例えば、新型うつ病などです。従来通りの対応が難しいメンタルヘルスの課題が生じ、ラインケアの支援にEAPを活用するニーズが増えてきています。

サービスを利用することで従業員のメンタルヘルスに関わる諸問題を安心して解決できたかを、本人だけでなく、アドバイスを受けた上司にも確認してEAP導入の価値を検証すると良いでしょう。

参考サイト・資料・書籍など

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