ストレスコーピングとは
ストレスコーピングとは、ストレスの原因となるストレッサーにうまく対応することを言います。
人はさまざまなストレッサーに囲まれて生活しています。仕事やプライベート、人間関係などをはじめ、満員電車が苦痛、電話をかけるのが苦痛、ネットのあふれる情報が苦痛、メールやSNSへの返信が苦痛など、ストレッサーはさまざまです。
ストレッサーをうまく防御することやうまく対応することができずに過剰なストレスが加わると、やる気が起きなくなったり、食欲がなくなったり、頭痛を感じたり、胃が痛くなったりと心身への不調が現れることも少なくありません。状態が重くなれば、うつ状態になり、学校に行けなくなる、仕事を休職するなど生活にも支障が生じます。
そのようなメンタルヘルスの問題を抱えないように、ストレスコーピングすることが大切です。
ストレスコーピングの方法として、主に問題焦点コーピングと情動焦点コーピングがあります。それぞれの方法について見ていきましょう。
問題焦点コーピング
問題焦点コーピングはストレッサーそのものに働きかけ、それ自体を変化させることで解決を図る方法です。
例えば、SNSを頻繁に送って返信を求めてくる友人にストレスを感じている場合、その友人に直接、「ウザい。あまり送ってこないで。」と伝えることや連絡先を消去して関係を絶つといった方法が考えられます。
情動焦点コーピング
情動焦点コーピングとは、ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、考え方や感じ方を変えることでストレッサーの緩和や回避を図る方法です。
例えば、先の例で、SNSを頻繁に送って返信を求めてくる友人がウザいとストレスを感じている場合、情動焦点コーピングを行うとすれば、「私のことをとても気に入ってくれているのだな。」、「それなら少しは相手にしてあげないとかわいそうだな。」と前向きに考えることや「ほかに夢中になれることがない、かわいそうな人なのだな。」と同情することでイライラを紛らわすなどの対処が採れます。
問題焦点コーピングと情動焦点コーピングの使い分け
一般的にはストレッサーそのものを対処することで変化させることが可能な場合は問題焦点コーピングが向いており、ストレッサーが対処によっても変化できない場合には情動焦点コーピングが適当であるとされます。
もっとも、その人の性格やストレッサーの性質によっても、適切な対処法は異なってくるでしょう。
ケーススタディでいえば、友人関係が失われても良い相手であれば、問題焦点コーピングで直接働きかけることや関係を断絶しても良いかもしれません。
一方、友人関係は維持したい、キツイことを言ったらほかの友人に告げられて、友人関係全体に支障が生じそうといった場合には情動焦点コーピングがおすすめです。
問題焦点型ストレスコーピングの具体例と対処方法
職場におけるストレッサーに対する問題焦点型ストレスコーピングは、人間関係や環境を変化させて原因となる物事から遠ざかる、上司や同僚、家族や友人に相談する方法のほか、「~してはいけない」・「~すべきだ」という思い込みから自分の考えを解放する方法などが挙げられます。
具体例1:上司とのコミュニケーションにストレスを感じている場合
上司や同僚に自分の本音や意見が言えず、ストレスになっている場合、自分の考えを整理して、ミーティングなどで勇気を出して発言する機会を設ける、面と向かって言えないなら、メールで伝えるなどが挙げられます。
具体例2:苦手なプレゼン役を命じられストレスを感じている場合
プレゼンが苦手なのに、プレゼン役を命じられてストレスを感じている場合、方法としては、「自分にはできない。」とほかの人に代わってもらうよう交渉する、体調を崩した、家族が倒れたなどと言い訳をつけて休むといった回避法もありますが、仕事で成長していきたいなら、プレゼンのシミュレーションやロープレを地道に行って自信をつけるのが良いでしょう。
情動焦点ストレスコーピングの具体例と対処方法
情動焦点コーピングとはストレッサーへの受け取り方や感じ方を変えてストレスを軽減する対処法です。変えることができないストレッサーや、問題焦点コーピングでは解決しようがない場合に向いています。
考え方を変えるというと、前向きに思えるかもしれませんが、情動焦点型コーピングは根本的なストレス解決にはなりません。その先もずっとストレスが続いていくためです。
先のケーススタディでいえば、自分を慕ってくれているからとか、かわいそうな人だからと考えを変えても、ストレッサーなるSNSのメッセージは変わらず送信されてくることになります。
そのため、情動焦点型コーピングで対処するにはコーピングスキルを上げると、自分の感情を思い通りにコントロールしていけるようになることが大切です。
具体例1:上司の指導に納得できずストレスを感じている場合
上司の指導に納得できないことがある場合、「自分のためを思って言ってくれているんだ。」、「自分が結果を出せないから仕方ない。次は頑張ろう。」と考えることです。
具体例2:顧客からのクレームでストレスを感じている場合
顧客からクレームをつけられて嫌な思いをしている場合、「自分が成長できるチャンスだ。」と考え直します。
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