「そんなアイデアで困ってる人の力になれるのか!」「やられた!」と思うような、驚きのアイデアでビジネスモデルを創り社会実装しているケースを見ると、「メンタルヘルスに転用したらどうなるだろう?」といつも考えます。
昨日もびっくりして思わずツイート。
「無料保険(フリーインシュアランス)」という座組みが作れることを知りました。
無料保険(フリーインシュアランス)とは?
無料保険とは、加入者は無料で保険対象の事故、トラブルがあった時に保証してもらえる代わりに、保証のための費用を負担してくれる会社に対して連絡先を共有したり、商品開発に協力したりするもの。
無料保険のWarranteeがナスダックに上場申請
庄野裕介氏がCEOを務めるWarranteeは、無料保険のモデルを2020年11月に日本国内で特許化し、国際特許も申請。ナスダックに上場申請し、世界中にこのモデルを拡大することを目指しています。
そもそも保険とは何か?
保険とは「万が一起きたら大変なことになるけれど滅多に起こらないこと」に対して、自分ひとりで備えるのは無理ゲーだからみんなでちょっとずつお金を貯めておいて、誰かが困ったらその人のためにお金を使おうというものです。
- 保険料
- 保険事故
- 保証期間
- 保証内容(保険金)
例えば、生命保険の場合は、「死亡」という保険事故に対して、500万円の保険金が支払われたりします。医療保険の場合は、「入院」や「手術」が保険事故になります。
これらの「万が一のリスク」に備えて、普段から一定金額を保険料として支払う代わりに保険事故が起きたらお金がもらえるのが保険です。
無料保険は保険業法上の「保険」にあたらない
保険業法による保険の定義は下記の通り。
人の生存又は死亡に関し一定額の保険金を支払うことを約し保険料を収受する保険、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し保険料を収受する保険その他の保険
保険業法
保険料を収容しない「無料保険」は、保険業法上の保険ではありません。
そのため、厳しい規制がなく民間企業が自由な事業展開をしやすいのです。
保険料を肩代わりしたい人はいるのか?
無料保険と聞いて1番疑問に思うのが、保険料を代わりに払ってくれる人なんているのか?ということでしょう。
無料保険では、メーカーが肩代わりして保険料を支払うモデル。Warrantee CEOの庄野氏は先日の記事で下記のように述べたと書かれています。
メーカーはモノは作っているが、それが実際に誰に使われているのか分からない。
ユーザー情報を得たいという潜在的なニーズがあった
社員9人で米ナスダック上場 日本のベンチャーWarranteeが進める“無料保険”とは何か
つまり、大手メーカーにとっては、ユーザーの細かなニーズのヒアリングや実態調査をできるのであれば、保険事故をカバーする保証をする費用を代わりに支払ってあげても余りある情報が得られるということです。
これはWin-Winなモデルだなと僕は感じます。
ユーザーからするとよりサービス改善してほしいし無料で手厚い保証が受けられます。もちろん、自分の情報が企業に使われることに抵抗がある人もいるかもしれないですが、納得する人だけが加入すれば良いわけです。
企業からするとより細かなユーザーの要望や実態を把握できてサービス改善に役立てることができます。その上、無料で保険を提供してくれたことへの感謝からサービスのコアなファンになるユーザーを増やすことにもつながるでしょう。
わたしたちのニーズをメーカーにお伝えすることで、より良いサービス改善に努めていかれるという代わりに補償が無料になるという仕組みなので、安心して使わせていただいています。
フリーインシュアランス – Warrantee
精神疾患経験者向けの「無料保険」を作れないか?
無料保険のビジネスモデルを知って、すぐに思ったのが「精神疾患経験者向けの無料保険」を作れないかということです。
うつ病と診断されると保険に入れない
持病のある人は、保険事故の頻度が高いです。
実は僕も持病があり保険に入れない人の1人です。肺動脈弁狭窄症という心疾患を持っています。
そのため将来的に心疾患で倒れる可能性や入院、手術をする可能性が普通の健常者よりも高いので、普通の人が入る保険には加入できません。
これは精神疾患についても同様です。
医療保険や死亡保険については、保険加入時に必ず持病について聞かれて申告する義務があります。
うつ病と診断されると、一般的な民間保険にはしばらく入ることができなくなる可能性が高いです。
精神疾患経験者が保険に入れないことによる課題
一般的な民間保険に入れないことで、選択肢は2つになります。
- 民間保険には入らない
- 引受基準緩和型のコスパの悪い民間保険に入る
日本人は国民皆保険によって健康保険や国民健康保険に全ての国民が加入しています。充分すぎるくらいに手厚い保証をどんな持病のある人でも受けられるため、民間保険に入らないというのは1つの手です。
一方で、高額療養費制度などはあったとしても貯金額が低い状態で、仕事ができなくなり、かつ治療費もかかるというのはとても大きな不安がつきまといます。お金や仕事の不安が原因で、余計に体調も悪化してしまい、更に仕事もできず治療費も増えてしまうという悪循環に陥ることが少なくないように思います。
引受基準緩和型の保険は、コスパが悪すぎて、なかなか収入が平均水準の人にとっては入りにくい、入ってもメリットが薄いものになってしまっています。「保険貧乏」という言葉があるように、保険に入っても貧乏になりいつまで経っても貯金ができず保険への依存から抜け出せない収支になりがちです。あまり建設的な解決策ではないでしょう。
精神疾患経験者向けの「無料保険」の具体的なイメージ
例えば、精神疾患患者向けの病院でDXを推進する上で、「より患者さんにとって心地よい導線で、かつ、職員にとって効率化できる業務フロー」を構築する上では患者さんの心理を深く理解して丁寧に業務フロー改善を進めていく必要があります。その際に、「無料保険」を提供する対価として患者さんに率直なフィードバックをもらうようなモデルが考えられるかなと思います。
他にも、製薬会社のプロモーションに対する意見の回収、ブランドイメージの調査などもあり得るでしょう。
精神疾患経験者向けの「無料保険」の実現可能性
ちょっとわからないので、調べて考えていこうと思います。
・Warranteeさんの「無料保険」の特許はどこまで何をカバーしているのか?精神疾患経験者向けの無料保険はカバー範囲に含まれるのか?
・本当に精神疾患経験者に無料保険のニーズがあるのか?
・本当に保険業法上の保険に当たらないのか?グレーゾーンとして、今後法改正でカバー範囲が拡大する可能性はないのか?
・無料保険が提供できる場合、保険事故と保証内容はどのようなものにすべきか?
・医療機関や製薬会社に無料保険を提供する費用に見合うだけのリターンを返せるのか?
・なぜ今まで無料保険が提供されていないのか?(もしくは既に存在するのか?)
応援いただいたので、がんばります。
統合失調症とは?症状や原因をわかりやすく解説 就労移行支援サービスの選び方【LITALICOワークス、ココルポート、ミラトレを比較】 オンラインでカウンセリングを受けられるサービス7選