「自律訓練法」とは?リラックス効果を生む理由や実践方法を解説

マインドフルネス

自律訓練法とはリラクゼーション法の1つです。

「聞いたことがない」「実践したことがない」という方も多いかと思いますが、リワークなどの福祉施設でのプログラムや、保健体育の授業などにも取り入れられるほど効果が認められている代表的な手法です。

この記事では自律訓練法についてわかりやすく解説していきます。

リラクセーション法とは?

自律訓練法は、代表的なリラクセーション法の1つです。リラクセーション法とは、心身の緊張を解きほぐして、自律神経を整え、ストレスに適切に対処できるようにする手法です。

自律訓練法、漸進的筋弛緩法、瞑想法などがあります。

自律訓練法

1932年にドイツの精神科医シュルツ氏によって体系化された自己催眠法・治療技法です。

技法を用いてリラックス状態を体験することで、疲労回復、セルフコントロールの向上などにつなげます。

やすまさ
やすまさ

僕自身は、仰向けに寝転がって目を閉じ「床の下に自分の身体が沈んでいくような感覚」をイメージすることで脱力してとてもリラックスができます。

少し堅苦しいルールもあるのですが、自分がやりやすい実践方法でストレスケアに取り入れられるといいかと思います。

漸進的筋弛緩法

アメリカの神経生理学者ジェイコブソン氏が開発したリラクセーション法です。

手をぎゅっと力強く握って、数秒してぱっと脱力するなど、筋肉の緊張と弛緩を繰り返し行うことでリラックスする手法です。

やすまさ
やすまさ

スポーツの試合前や、大事なビジネスのプレゼン前に、顔の筋肉にぎゅっと力を入れたり、手を握ってから脱力するとリラックスして緊張が和らぐのでおすすめです。

瞑想法

瞑想法は、自分の呼吸に集中して、自分の内側をじっくり観察する感覚をもつことでリラックスする手法です。「マインドフルネス」という言葉がメディアでもよく取り上げられるようになったため、聞いたことがある方も多いかと思います。

最も普及している「マインドフルネス瞑想」は、「今、ここ」に集中する方法で、アメリカの企業でもよく取り入れられています。

自律訓練法がリラックス効果を生む理由


自律訓練法は「自律神経」のバランスを取ることで、心身のリラックスを得るという方法です。疲労回復やストレス解消などの効果が期待されます。

自律神経とは?

自律神経は脳からの指令を受けて、全身の機能の働きを調整している神経ですが、交感神経と副交感神経の2種類があります。

交感神経

交感神経は昼間など活動している際に活発に働くもので、活動に応じて心身の緊張や興奮をもたらします。

副交感神経

副交感神経は夜眠っている間に働くなど、心身をリラックスさせる働きを持つ神経です。

自律神経の乱れに自律訓練法が作用する

不規則な生活やストレスや緊張が続くような生活を送っていると、自律神経が乱れてしまいます。たとえば、眠れなくなるのは夜になっても交感神経が、ストレスなどの影響で活発になったままで、副交感神経へと切り替わらないからです。

心身のリズムを整えて、健やかな生活を行っていくためには、自律神経のバランスが取れていることが大切です。

自律訓練法では、自分で交感神経と副交感神経のバランスをコントロールできるようにしていきます。

自律訓練法の実施方法

自律訓練法の基本的なやり方は、できるだけ静かな場所で楽な姿勢を取り、「言語公式」としてルール化されている言葉を頭の中でゆっくりと反復していく方法が代表的です。

言語公式は7つあり、決められた順番に心の中で繰り返していくことで、自己催眠状態に入っていきます。
気を付けたいのは自律訓練法を終了するときです。

手足の屈伸といった定められた終了動作を必ず行うようにしないと、脱力感や不快感が体に残ってしまうので気を付けます。

自律訓練法実践時の言語公式

軽く目を閉じた状態で定められた言語公式を順番に声に出すことなく、心の中で繰り返すように唱えていきます。

  • 背景公式「気持ちが落ち着いている」
  • 第1公式「右腕が重たい→左腕が重たい→両脚が重たい」
  • 第2公式「右手が温かい→左手が温かい→両脚が温かい」
  • 第3公式「心臓が規則正しく打っている」
  • 第4公式「楽に息をしている」
  • 第5公式「お腹が温かい」
  • 第6公式「額が心地よく涼しい」

自律訓練法で定められた言語公式は背景公式を含めて7つあります。

順に唱えていきますが、7つすべてをクリアしなければ効果が得られないというものではありません。

多くの方は第2公式まで行うだけで、心身のリラックス効果などが得られます。

自律訓練法は1日に何回実施すればいいの?

自律訓練法に取り組む時間は1回3~5分を目安に、毎日2~3回行うのが理想です。

自律訓練法を終了するときの注意点

自己催眠状態からいきなり普段の状態に戻ると、体にだるさや不快感などが残ってしまうので、自律訓練法を終了する際には必ず、消去動作を行い、自己催眠状態から覚めなくてはなりません。

消去動作は定められた方法はありませんが、たとえば、両手を上げて大きく伸びをする、肩や首を大きく回す、両手を強く握ったり、開いたりしてみるなどです。

意識や筋の状態を通常レベルに引き上げるための動作を行うことで、自己催眠状態から覚めることができます。
ただし、自律訓練法を就寝前に行う場合、消去動作を行うことなく、そのまま眠ってしまっても問題ありません。

学校や企業、健保などで自律訓練法を活用するために

自律訓練法を行うことで、疲労の回復や穏やかな気持ちの獲得、向上心やモチベーションの増加、仕事の能率アップなどの効果が期待できます。そのため、学校や企業などでも始業前や疲労が溜まってきて煮詰まってくる時間帯などに実践するのもおすすめです。

もっとも、自己暗示とか自己催眠といった普段の生活では親しみのないことを行うため、不審に思う方もいるかもしれません。自律訓練法が乱れた自律神経のバランスを整える、医療機関でも実践されている方法であることや厚生労働省のホームページでも紹介されていることなどを伝えて安心感を持ってもらってから、取り組むと良いでしょう。

自律訓練法は医師の指導のもとで行われるほか、自宅でセルフケアとしても行うことができますが、グループワークとして行っていく方が好ましいと言われています。そのため、体育の授業に取り入れている学校もあります。

職場で定期的に実践するなどして、自律神経のバランスを回復させる方法を学び、セルフコントロールができる社員の育成、支援に活用しましょう。実践法を習得すると仕事をはじめ、日常生活のあらゆる場面で応用でき、心身のバランスを保って意欲的に取り組めることが増えます。

参考

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-024.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-kenkou/jiritsu-kunren.html