こんにちは!やすまさ(@yasumasa1995)です。
僕は社会人2年目だった2020年3月に副業で小さな事業を個人買収し経営改善に挑戦したことがあります。「事業を買う」という未知の挑戦をしたきっかけが、三戸政和さんの『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』という本でした。この本を図解でわかりやすく解説していきます。
億万長者はどうやってお金を稼いでいるか?
突然ですが、「億万長者は、どうやってお金を稼いでいるか」を知っていますか?正直、僕はあまりイメージできていませんでした。「会社の経営者で、がっぽり何億円も役員報酬をもらっているのかな?」という程度の認識でした。
こちらは億万長者番付2020と日本企業の時価総額ランキングTOP10を比較した表です。これを見ると、時価総額の高い企業の経営者が、必ずしも億万長者というわけではないことがわかると思います。時価総額ランキングTOP10企業の経営者で億万長者TOP10に名前があるのは、ソフトバンクの孫さんと、キーエンスの滝崎さんのみです。
なぜ、トヨタの経営者やソニー、NTT、中外製薬、KDDI、任天堂の経営者は億万長者番付2020のTOP10に入らなかったのでしょうか?
上場企業経営者である孫正義さんの年収
あくまで概算ですが、ソフトバンクの孫正義さんの年収の内訳は以下のようになります。
役員報酬はたった1.3億円しかもらっていません。1日10時間ハードワークしていると想定すると、1年間で「1日10時間×30日×12ヶ月=3,600時間」ほど働いていることになります。時給換算すると、「1.3億÷3,600時間=36,111円」となります。つまり、単純な労働の対価という意味では「時給3.6万円」ほどしか稼いでいないのです。
孫さんが億万長者である理由は、「株式の配当」で巨万の富を得ていることです。創業社長でオーナー社長であるため、自社の株式を多く保有していて株の配当収入が莫大な金額になります。労働とは別の資産所得(不労所得)が年間95億円ほどあり、これが億万長者たらしめている秘訣です。
例えば、世界一の大富豪として資産が約20兆円を超えたAmazonの創業者ジェフ・ベソスが莫大な資産を形成している仕掛けも基本的には同じです。
億万長者番付2020のTOP10名の共通点は「オーナー社長である」ということです。仮に時価総額の高い企業で経営者をしていても、保有株式の比率が低ければ莫大な資産所得を得ることはできません。
純資産5億円以上の日本人はわずか0.14%
日本では野村総研が調査した世帯別純金融資産の金額と分類が非常に有名です。ここでは、純資産5億円以上が0.14%の超富裕層、1億円以上が富裕層、5,000万円以上が準富裕層とされています。
億万長者の稼ぎ方からわかる通り、富裕層になるには「資本家」になることが大切です。労働による収入ではなく、株式や不動産などの資産が生み出す資産所得、不労所得によって大きな収入を得る仕掛けを作る必要があるのです。
自社の株式を100%保有するオーナー社長になれば、TOP0.14%の超富裕層になることも夢ではありません。
「起業」はやめた方がいい!
「オーナー社長」や「資本家」になる方法というと、「起業」をイメージするかと思います。
しかし、「起業」はあまりおすすめできる方法ではありません。ゼロから事業を創り、売上を立てて、会社を存続させていくということは相当に苦しくごくわずかな人しか成功できないためです。
ベンチャーキャピタルの世界では「千三つ」という言葉があります。1000社のベンチャー企業に投資検討して、そのうち投資が実行されて上場に至るのはたった3社のみという意味です。ご自身が株式会社日本創生投資のCEOを務める三戸政和さんも、この数字感覚は実態とかなり近しいと感じているようです。
ゼロイチで起業し、IPOを目指すスタートアップ、ベンチャー企業に投資するということは「博打」に近い側面があります。1,000社のうちの3社になる何かしらの根拠があるか、あるいは何度失敗してでも成し遂げたいビジョンがないとスタートアップはうまくいきません。
ベンチャー投資とバイアウト投資
企業への投資ビジネスには、大きく分けて「ベンチャー投資」と「バイアウト投資」というものがあります。
「ベンチャー投資」はゼロイチを創るスタートアップに投資して、10社に1社がIPOを達成し莫大なキャピタルゲインを得ることで稼ぐビジネスです。9社は失敗しても、1社が莫大な利益をもたらすという博打に近い投資です。
それに対して「バイアウト投資」は既に回っている事業を買収して、営業利益を改善し、買収価格より高値で売却するビジネスです。こちらは既に回っているものの改善なのでゼロイチより遥かに手堅い投資となります。
そのため、三戸政和さん自身は「バイアウト投資」を専門にするファンドを手掛けています。
ゼロイチ起業より、事業を買うべき
ゼロイチ起業は博打に近いです。
起業しても4社に1社しか10年間生き残ることはできない
廃業率の低い製造業でも、新しく誕生した企業の5年生存率は「42%」、10年間続く会社は「23%」です。4社に1社しか10年間生き残ることができないのです。
サラリーマンはゼロを経験したことがない?
また、サラリーマンは既に出来上がった事業を改善していくことを経験している人がほとんどで、ゼロから事業を創る経験をしている人は稀です。仮に新規事業の立ち上げや新しいプロジェクトの立ち上げを経験していたとしても、それは会社のブランドやアセットありきでのゼロイチになります。
多くのサラリーマンは、本当の意味で「ゼロ」から「イチ」を生み出す経験を積んだことがあるとは言えません。
ゼロから事業を作り10年間存続させる道のりは修羅の道です。
それであれば、10年間続いた優良企業を買収してしまった方が、 ゼロイチ起業よりもよっぽど合理的と言えるかと思います。
人生100年時代に会社を買うべき4つの理由
『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』では、過去200年間の寿命の伸び率から考えると「2007年生まれの子どもの半数が、107歳まで生きうる」と予想されています。
2人に1人が100歳まで生きる時代には「生きがい」と「お金」という2つの問題をどう乗り越えるか、個人が人生戦略を真剣に考える必要があります。
サラリーマンが「会社を買う」という選択肢が魅力的である理由は4つあります。
【1】自分のキャリアを生かせるから
1つ目が自分のキャリアを生かして、最大限の生きがいを得ることができるためです。サラリーマンとしての経験を、後継者不足で困っている中小企業の経営改善に生かせるというのは売り手の社長や会社の従業員にとっても、日本社会にとっても、あなた自身にとっても、Win-Winな選択といえます。
定年以降も会社に「雇われる側」として現役時代より遥かに低い給与で働き、やりがい・生きがいをキープしたまま100歳を迎えられるかというと疑問です。
【2】資本家のメリットが大きいから
2つ目が会社を資産として保有し、資本家として生きることができるためです。「事業を買う」という選択肢は資産形成としても非常に魅力的です。
会社を買収してオーナー社長になれば、自分の「役員報酬」は自分で決めることができます。あまりに高額にしても仕方ないのですが、「1000万円〜2000万円」ほどが一般的です。普通の人なら十分に裕福な暮らしができる金額はもらえるでしょう。さらに仕事と関係ある出費を経費として計上し「節税」できるようになります。
また、オーナー社長であるため「資本家」としての稼ぎ方ができます。例えば、「会社の売却益」を得ることができるのです。おおよそ営業利益の3〜5年分の評価額で会社は売却できるため、改善した営業利益の3倍ほど売却益を得ることができる計算になります。
年間の営業利益を1000万円改善すれば、3000万円ほど売却益がもらえるということです。
【3】老後不安から解放されるから
3つ目が老後のお金の不安からの解放です。老後2000万円問題でよく知られるようになった通り、国民年金と厚生年金保険だけでは老後の生活費の全てを賄うことは期待できません。人にもよりますが、数千万円は足りないと考えておくべきでしょう。ある程度豊かな老後生活を送るには、65歳〜70歳くらいまでに数千万円〜1億円くらいは準備しておくと安心です。
オーナー社長として「役員報酬」と「売却益」を得ることができれば、数年間会社を経営して数億円の資産を築くことはかなり現実的な方法です。サラリーマンの生涯年収は「2億円」ですが、これを数年で稼ぐことができてしまうのです。
【4】大廃業時代で市場にチャンスが溢れているから
最後に、マーケットにチャンスが溢れているという背景があります。サラリーマンが事業や会社を買うというと非現実的な方法に思えるかもしれませんが、実際はそんなことありません。多くの魅力的な会社が売りに出されていて、経営を引き継いでもらいたいと強く願っているのが現状です。
個人M&Aは圧倒的な「買い手市場」の状態なのです。売りたい人が多く、買いたい人が少ないブルーオーシャンと言えます。先に行動した人が勝てる市場になりつつります。
大廃業時代はサラリーマンにとって大チャンス!
今後10年間で126万社が廃業し、650万人分の雇用が喪失すると言われています。大廃業時代に突入するといってよいでしょう。
廃業する会社の半分は黒字廃業です。代表の高齢化、後継者不足で廃業を余儀なくされるケースが多いです。
事業は魅力的なのに廃業するのはもったいないことですので、サラリーマンが引き継いで経営できたらお互いにとっても、社会にとっても意義があります。
大廃業時代は、サラリーマンが事業や会社を買うことに挑戦する大チャンスの時代なのです。
中小企業の経営は難しくない?
いくら「チャンスだ!」といっても、いきなり自分が中小企業の経営者になるというと、難しく聞こえるかと思います。しかし、実際のところサラリーマンとして経験を積んだ人が中小企業の経営を改善することはそこまで難しいことではありません。
経営資源が揃っていて、市場と売り物は悪くないのに「赤字」の企業を「少し黒字」にするのはそんなに難しいことではない。
大手企業のサラリーマンとして、Off-JTとOJTを受け、素晴らしい仕組みをフル活用して成果を残していた人材は、ひとたび中小企業にいけば超エースかつリーダーになります。
仕組み化、改善された未来を具体的に描くことができて、かつその手段も知っているのであとはやるだけです。
中小企業の経営は非効率がいっぱい
中小企業の経営は、「非効率」がたくさんあります。
例えば、得意先ばかり訪問して苦手な顧客にはアプローチしなかったり、利益率の低い商品ばかり売っていたり、顧客の情報共有がされておらず別のルートから同じ企業に連絡してしまったり、大手企業なら「当たり前」に仕組み化・合理化されている部分が非効率なままになっています。
連絡手段ひとつとっても、紙でコミュニケーションをとっている会社だってあります。SlackやLINE、ChatWorkなどを導入するだけで生産性が何倍にもあがるかもしれません。
中小企業の経営は「当たり前」を「当たり前」に
サラリーマンが会社を買って、経営改善する上での基本は「当たり前」を「当たり前」にやることです。
大手企業の当たり前は、中小企業の当たり前ではありません。サラリーマン時代に経験した会社の当たり前を愚直に実行すれば少し経費を下げて少し売上を伸ばし、営業利益をあげることはそんなに難しいことではないのです。
例えば、製品ごとの営業利益率を計算して、より利益率の高い商品を売ることに注力したり、不採算部門を撤退したり、赤字の顧客に値上げ交渉をしたりです。PDCAを回すという発想すらない企業も少なくないため、週次でPDCAを回す会議を設定するだけでも生産性が大きくあがることもあるでしょう。
いくらで会社を買うべきか?
さて、サラリーマンが会社を買うことの魅力や、経営改善がそんなに難しくないことがわかったと思います。では、具体的にいくらで買えばいいのでしょうか?
会社や事業の値付けの原則はとてもシンプルです。営業利益の3〜5年分と、純資産の合計額がその企業の評価額です。
例えば、年間営業利益が100万円で、50万円分の設備や機材を持っていればその会社は「100万円×3年分+50万円=350万円」ほどで売買されることになります。赤字事業や負債のある会社であれば、0円で売買されることだってあります。
TRANBIやBatonzでスマホで簡単に事業が買える
売りに出されている事業・会社を探すのもまた驚くほど簡単になってきています。今はスマホひとつで事業が買える時代です。
昔の常識では、売却情報はトップシークレットでした。なかなか一般的なサラリーマンがアクセスできる情報ではなかったです。もちろん現在もそういった案件は一定数あります。
しかし事業継承を望む多くの企業は、「売りたいニーズ」が強いためインターネットで簡単に探すことができます。例えば、TRANBIやBatonzという事業継承プラットフォームを使えば、フリマアプリのような感覚で事業を探し交渉を申し込むことができるのです。
・事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】
・事業承継・M&AならBatonz(バトンズ)| 国内最大級の成約支援実績
経営に失敗してもリスクは実質ない?
最後に、事業を買う「リスク」が気になる方もいると思います。買収資金を用意して、個人としては大きな金額の買い物をした結果、経営に失敗し大損するというのは誰も望みませんし不安に思うところでしょう。
経営に失敗しても失うのは買収資金のみ?
「もし買収した企業や事業の経営に失敗したら、大量に借金を背負うことになるのではないか?」とイメージしている方も少なくないかと思います。ドラマでも、中小企業の経営者が経営難に陥って人生を諦めるようなストーリーはよく語られます。しかしそれは一昔前の常識になりつつあります。
現在は、中小企業の事業継承が日本にとってあまりにも深刻な課題であるために、社長個人の財布と会社の財布を切り分けるような法律に改正されています。会社を買収する際には、会社の借金を自分個人が背負わずに買えるということです。
つまり、大赤字を出したとしても、リスクは「買収資金を失う」ということのみで、事業価値を何らかのアクシデントで相当に落とさない限りは買収資金以上のお金を自分個人の財布から失うことはないということになります。買収資金も、もし会社をそのまま売却すればある程度の評価額で戻ってきます。
経営失敗したときの想定シナリオ
もう少し具体的に最悪のケースを想定してみましょう。例えば、「300万円」で買収した会社の経営に失敗して、営業利益を全く改善できなかったとします。
営業利益が悪化していれば、会社の評価額は低くなってしまいます。そのため、200万円ほどの評価額に落ちて売却することになるかもしれません。
そうすると、経営していた期間中の役員報酬と、売却益の「-100万円」とが自分の財布に入ってくるお金になります。役員報酬はプラスですので、実際はそこまで大幅にお金を失うわけではないということです。
300万円をそのまま失うことをイメージしている人が多いかもしれないですが、会社自体の評価額が300万円ということは基本的に300万円で他の人に売却することもできます。経営がうまくいかなくても、会社という箱自体の価値は営業利益や資産がそのままであれば大きく変動することはないので、実は買収資金がそのまま返ってくるということもあります。
リスクゼロではありませんが、正しくリスクを見積もって行動すればそんなに怖いことではないことがわかるかと思います。
実際に72万円で小さな事業を買収してみた感想
三戸政和さんの『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』を読んで、僕は早速TRANBIに登録して事業を探してみました。300万円といわず、「100万円でも買える会社や事業がたくさんある」ことに気づきました。
そして僕は「72万円」で小さな休眠事業を買収し経営改善に挑戦しました。
「事業を買う」ということに挑戦して本当によかったです。その経験は『TRANBIで事業を買って、3ヶ月で売ってみた。』というnoteでリアルなエピソードとともにまとめているのでぜひお読みください。(有料noteでは、超具体的な買収の流れと、売却の流れをまとめています。)
実際に企業・事業を買うときは、「基礎的な会計知識」が必要になるので『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編』をあわせて読むことをおすすめします。小難しい会計の教科書ではなく、実践的に必要な知識だけをわかりやすくまとめられているのでとても読みやすかったです。
僕が事業売買を成功させる上で最初にやったことはこの2冊を読むことくらいで、あとはTRANBIを使ってみて行動しながら必要な知識を適宜インターネットで調べて補完していました。
こちらは『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編』に書かれていた堀江さんのコメントです。事業売買をしない人でも、ビジネスパーソンにとって会計の基礎知識があると「お金」と「ビジネス」の捉え方が180度変わるので、難しそうだなと遠ざけずに、ぜひ会計も学んでみてください。
こちらの『会社を買って、起業する。超低リスクで軌道に乗せる「個人M&A」入門』という書籍では、僕が実際に小さな事業を買収して経営改善に挑戦した時のお話を事例として掲載いただいています。